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人工呼吸器使用患者入浴介助の取り組み

医療法人野毛会 もとぶ野毛病院 特殊疾患療養病棟Ⅰ
    介護 ○玉城やよい 饒波隆子 看護師 横内さおり

[はじめに](画像①)

 特殊疾患療養病棟Ⅰには、脊髄損傷等3名、神経難病患者6名、重度の意識障害者16名が入院中で、ADLは全介助、胃瘻や経鼻胃管栄養が半数を占めている。25名の内、3名が人工呼吸器使用中で看護や介護をする上で人工呼吸器の管理は重要である。これまでのヒヤリハットの経験をふまえて、これらの患者様にはアンビューバッグRを使用した入浴介助を短時間で安全に実施するために、手順を作成し、半年が経過した。それにより医療安全対策を最優先した入浴介助を実践しているのでここに報告する。


[方法](画像②)

入浴前に次の手順を行います。

①入浴可否を担当看護師に確認をとる。
②患者様の脱衣を行い、ストレッチャー移乗の用意をする。(画像③)
③アンビューバッグR・延長チューブを酸素ボンベに接続し、酸素ボンベの残量、使用流量と時間の確認を看護師が行う。
④尿道カテーテルを留置している場合、尿側後、廃棄する。
⑤気管内・口腔内の分泌物の吸引を十分に行う。
⑥看護師が酸素流出の確認をとる。
⑦人工呼吸器を外し、介護者3名で患者様をストレッチャーに移乗する。(画像④)
⑧看護師がアンビューバッグRで補助呼吸を素早く開始する。
⑨患者様の身体を保温、プライバシー保護に考慮し、掛布で包み、ポータブル吸引器・気管吸引セット一式(画像⑤)を用意し、入浴場へ移動する。

 ※入浴介助者の服装として 長靴、Tシャツ、防水エプロンに着替える。(画像⑥)

入浴中に次の手順を行います。入浴時間:10~15分(画像⑦)

①患者様の顔色、表情、呼吸、気管カニューレの固定、酸素ボンベ残量、アンビューバッグRや酸素の接続部分が外れていないか確認(画像⑧)と注意を看護師が行う。
②気管切開部に、タオルで気切周囲を被い、湯温の確認をして、体に負担をかけないよう足もとから少しずつかけ、下半身・陰部・全身を洗い流す。胸部や頭髪を洗い流すときには、お湯が入らないよう慎重にお湯をかけ髭剃り(画像⑨)も入浴中に行う。
③背部を洗うときは介護者2名で行い、表皮剥離防止の為サイドレールを倒しますが、転落がないよう注意しながら洗う。
④気管カニューレホルダーを巻いている首まわり部分は直接お湯をかけることは難しいので、手をすべり込ませながら洗い流し、入浴終わりごろに気切部周囲は丁寧にタオルで拭き取る。(画像⑩)
⑤患者様に声かけをしながら状態観察し、普段とちがう状態時には看護師の指示に従う。

入浴後に次の手順を行います。(画像⑪)

①全身を拭き取り、背部にバスタオルを引く。
②プライバシー保護・保温に努め、部屋へ移動する。
③ベッドへ移乗する前に、オムツのセッティング確認をする。
④看護師と連携してベッドに移乗し、人工呼吸器を素早く装着し、その後、充分に吸引を行う。
⑤褥瘡処置、軟膏処置等を行った後 身なりを整え、安楽な体位をとる。
⑥ベッドまわり、病室から物品を片付け、消毒液で洗浄する。


[考察](画像⑫)

・気管切開部分の周囲をタオルで保護しているため、気切部への水の浸入は殆どみられないことがわかった。
・手順を作成し徹底する事で時間の短縮が図れ、医療安全対策上もヒヤリハットすることが減少、安心して入浴させることができる。

[おわりに]

長期療養患者様にとって入浴は皮膚の清潔を保ち、全身の循環を良くしリラックス効果が期待できる必要な援助行為です。人工呼吸器装着中の患者様の入浴は危険を伴い、より安全に留意する必要があると実感しています。今後も私たち介護者は、看護師の指導のもと手順書を十分に理解し、患者様の状態に応じた安全で安心できる方法での入浴介助の実践をしていきます。

最終更新日: 2008/12/25

 
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