ロゴ 
トップページ 
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
よりよい口腔ケアを目指して
-イソジンガーグルと紅茶を比較して-

医療法人野毛会 もとぶ野毛病院
伊是名克子
四本恵美子
正木香苗

[はじめに]

当院は平均在院日数260日の150床の医療療養型病院である。長期療養で慢性疾患を持つ高齢患者の多くは全身機能の低下により、感染を受けやすい状態となり、予防と治療には清潔ケアが重要である。
又、口腔ケアは、単に口腔内の清潔という観点だけでなく、誤嚥性肺炎の予防や、口腔機能、全身状態の維持・改善という観点からも重要である。当病棟では、これまでイソジンガーグルを用いて口腔ケアを行ってきた。しかし、イソジンの殺菌効果は絶大だが、口周囲や口腔内の乾燥も著明でケアに対する見直しが必要だと感じた。最近ではイソジンガーグルで口腔ケアを行う施設や病院が減少している。
そこで、紅茶に含まれるカテキンの殺菌・抗菌作用、口臭予防があることに着目した。口腔内の乾燥も軽減するケアが出来ないかと考え、安価な紅茶を用いた口腔ケアと従来のイソジンガーグルを用いた口腔ケアを比較検討したので報告する。

[研究方法]

 1. 調査期間 平成19年11月23日~12月6日
 2. 調査対象者 6名(経管栄養者:5名 経口1名)
   ① イソジン液(水200ml+イソジンガーグル1ml)による口腔ケアを実施する者3名
   ② 紅茶(紅茶1パックを湯1リットルで抽出したものを冷まして使用)による口腔ケアを実施する者3名
 3. データ集積方法
   ① 口腔内の状態、乾燥の程度、舌苔の有無、分泌物の増減、口臭の有無
   ② 口周囲の状態 乾燥の程度、チェック表を作成し時間を決めデータを集積

[結果]

  1. イソジンガーグルでの口腔ケア経管栄養者2名の内、口腔内の乾燥は1名が持続し1名は口腔内の痰の貯留により常時ネバネバ感が持続していた。経口摂取者1名についてはあまり口腔内の乾燥は目立たず。ケア開始前後に変化は認めなかった。

  2. 紅茶での口腔ケアについて経管栄養者3名の内2名は口周囲や口唇部の乾燥は少し和らぎ口臭については改善が見られた。1名の方はケアを開始してからは白色舌苔の減少が見られ舌の色もピンク色に変化する等、改善が見られた。

[考察]

 今回身近にある紅茶の茶カテキンに注目した。茶カテキンには強い殺菌作用があり、紅茶や緑茶でうがいをするとカテキンのタンニンやテアフラビンの抗菌作用から風邪予防にも役立つといわれている。今回の調査では、イソジンガーグル使用群では口腔内の乾燥、口周囲の乾燥が持続していた。紅茶使用群では、口腔内の乾燥が和らぎ、分泌物の減少、口臭の軽減を認め口腔内の環境が改善することが分かった。
また誤飲しても安全で味覚がマイルドである。コスト面ではイソジンガーグルと比較して安価であった。口腔内の保湿や清潔を保つには、口腔ケアを行う回数も大きく影響していると考えられ、今後は、回数も考慮し、また保湿ケアについて検討課題としたい。

[おわりに]

今回、調査期間と症例件数が少なかった。対象期間終了後も口腔ケアが必要な患者全員に紅茶での口腔ケアを持続し、経過を観察している。

最終更新日: 2008/07/02

 
Copyright (C) 2005 Motobu Noge Hospital. All Rights Reserved.