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平成12年沖縄県介護力協力病院連絡協議会研究発表会 医療法人野毛会 もとぶ野毛病院 看護婦 寺田礼子 [はじめに](画像①)高齢化社会に伴い、看護の対象がライフサイクルの最終段階である高齢者の割合が多くなっている。一旦はリハビリ療法を受け努力し、在宅生活を送っていた多くの高齢者の再入院も多々ある。 今回 左片麻痺で自立歩行し退院した一ケースが「頚椎症性脊髄症」と診断され、身体機能が急速に低下し、五ヵ月間で歩行障害から呼吸不全となり長期に人工呼吸器の使用を余儀なくしているケースを揚げ、認知能力は充分にありながら運動障害、嚥下障害、伝達障害、呼吸不全の経過の中で「何を提供したら安心し喜んでいただけるのか?」を模索してきた看護の展開を発表する。
経過(伝達)(画像4)
経過(活動)(画像5)
経過(食事)(画像6)
経過(排泄)
1期<1999/04/17~1999/4/26>
◇再梗塞の入院であるが前回同様 リハビリを主体とした療養
* 再入院で気落ちしていたが、初回入院でリハビリ効果を認識していた為リハビリに積極的に取り組めば 退院できると信じていた。 2期<1999/04/27~1999/07/22>
◇リハビリに主体を置きながらも 次第に運動機能が低下
* 初回入院のようなADLの改善がなく、むしろADLが日増しに低下していく過程となり「焦りと不安」が到来し治療に対する不信 3期<1999/07/23~1999/09/03> ◇ADLが全介助状態となり 悲観的な心理状態
* 四肢麻痺が進行し全介助状態になり発語障害の出現・嚥下障害と頚椎神経麻痺の進行が、伝達機能や生理的欲求の1つである「食べる楽しみ」も失ってしまった。
ヘンダーソンは看護の基礎を「基本的14のニード」と捉え、マズローは「生理的欲求」を土台に据え5段階の「基本的ニード」を説いている。生理的欲求は生命を維持していく為に最低限必要な欲求である。又 常に心理的なよっきゅうと相互に関係している。 患者は下肢の痺れ感出現に始まり5ヶ月という短期間のうちに「体を動かせない…声が出せない…」といった経過を経てとうとう自力で呼吸すら出来ない状態まで悪化した。身体症状と比例するように感情失禁、数分置きのナースコールと精神的な不安定さも増幅していった。この間のミーテイングのテーマは「どうすれば苦痛を取り除く事が出来るか。どのような対応が喜んでいただけるか」を職員全員の話し合いを繰り返していった。 これまで生きてきた人生の中で当たり前に行ってきた「食事、排泄、体を動かす事が出来ない」全てを他人にゆだねなければならない苦痛と恐怖は並大抵の事ではない。マズローは、人間の欲求を5つに分類し、それらを段階的に分類し上段に位置する欲求が満たされる為にはあらかじめ下段に位置する欲求が満たされなければならないとし
* 第1段階の生理的欲求は生存する為の必須条件であり、この生理的欲求の上に と看護論を説いている。 YUさんも1期では「第5段階の自己実現の欲求」を持ちリハビリに励みADLの自立を目標としていた。2期においては第4段階の自尊心、第3段階の愛と所属、第2段階の安全の欲求を他人にゆだねなくてはならない状態になり、3期は第1段階の呼吸、食事の生理的欲求も医療機器が必要となった。しかし話が出来ないという伝達障害があっても「話を聞く、理解する、瞬きする」が充分に機能している。 今後も「どうすれば苦痛を取り除く事が出来るか。どのような対応が喜んでいただけるか」をYUさんに教えていただきながら「精神的なQOL」の 自己実現、自尊心、愛と所属の欲求の看護の展開を継続したいと考えている。
この症例をとうして、職員が共通な認識を持つ大切さ、生理的欲求、安全の欲求を援助する事大切さ、障害があっても健康な機能や能力に対して 最大限に働きかける事の大切さ、このような基本的な事柄を改めて 学習できたと思います。 最終更新日: 2008/12/25 |   | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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