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当院におけるインフルエンザ感染の傾向
-データの分析で見えたもの-

医療法人野毛会 もとぶ野毛病院
武田由紀子
小那覇江美子
内間昌代

[はじめに]

 当院では、2005年から「感染登録システム」を開発しインフルエンザや感染性胃腸炎と診断された場合に感染登録を義務付けている。
 昨年、全国的にインフルエンザが流行しテレビや新聞などで盛んに報道されていたが当院の感染状況とは少し相違があると感じた。そこで全国・沖縄県のデータと当院の感染データを比較し「全国・沖縄県との感染状況の相違点」高齢者患者の多い当院での「感染の傾向」を分析したので報告する。

[調査方法]

 2006・2007年の全国・沖縄県の定点医療機の結果と当院の「感染登録」からの結果を収集し週別・世代別にそれぞれグラフ化し比較・分析。

[結果]

 2006年について全国では1月~2月中旬が感染のピークで週11~32人の感染があるがそれ以降は漸次減少していく。
 一方沖縄県は、同時期の感染者が全国平均より少なく推移しているが5月末から7月初旬にかけて週12人~25人の報告がある。これが夏季に流行する「亜熱帯型」と言われる感染パターンである。
 当院でも1月中旬から2月中旬までに週10人を超える感染があり第5週は最多で25人(一日4・5人)の感染者があった。3月後半より感染は収まり6月中旬より再度感染者が増えた。他の地域と同じ感染パターンを示した。
 2007年について全国は、冬季の感染のピークが2月中旬~3月末でその後は徐々に減少した。沖縄県も全国同様に感染のピークは3月であるが、夏まで感染が続き流行に近い状況になっている。当院でも冬の流行は3月の中旬がピークで全国・沖縄県とほぼ同じであり、4月末に0人となるが5月末~6月中旬には、週10人以上と高く推移している。
 2年間の世代別感染者は10代の感染者が飛びぬけて多く夏季の感染も殆どが10代の若年層で占めている。高齢者は自治体からの助成があり殆どの人が予防接種をうけているのでの感染は数年前から減少し感染者は年間3人程度である。

[考察]

 2年間の比較でも感染の時期やピークの幅が年によって違うことがはっきりした。
2007年は、全国的にも感染が流行し沖縄県でも2月以降は全国平均以上の感染報告が続き当院でも前年の2倍の感染者数にのぼった。「亜熱帯型」の流行は、例年当院でも観られる。
 「亜熱帯型」の原因は、CO2排出等による地球温暖化現象でクーラーなどの使用と充分な換気が行われない状況での低温・乾燥により感染しやすい環境になるため流行がパターン化するといわれている。夏季感染は中・高生のスポーツ大会や施設内イベントなどで感染拡大し他へ広がっていくという印象を持つ。予防接種の奨励も含め、教育現場での保健指導にも力を入れていくべきではないかと考える。
 県や全国の結果を確認しながら今後も院内の感染情報を正確に把握し、各部署で早期に予防策を立て外来から病棟、または病棟間での感染拡大防止を目指していきたい。

最終更新日: 2008/07/02

 
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