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院内イントラネットを活用した情報の収集による外来業務の改善

医療法人野毛会 もとぶ野毛病院 外来課長 玉城葉子

[はじめに]

もとぶ野毛病院は昭和63年に開院し、現在 医療療養病棟90床、介護保険病棟60床、計150床の療養型病院です。
建物は海岸沿いに立ち、生活に密着し療養環境に適した2階建ての造りです。病棟からの眺めは素晴らしく特に食堂からは伊江島や水納島の青々とした海が一面に広がります。海岸沿いには壁画が500mに渡って描かれており、食堂や病棟から眺めることができます。
当院では院内業務の円滑化の為に、開院当初より、各種業務のコンピューター化を図ると共に院内イントラネットを構築し、運用しながら改良を加えてきました。
今回、イントラネットシステムを利用することにより情報の収集による外来業務の改善ができたので報告したいと思います。

現在、私たちの外来では各診察室、予診室にパソコンが導入されています。そのパソコンシステムには、オーダーリングシステムと情報検索システムがあります。オーダーリングシステムとは、レントゲン撮影や検査の依頼をパソコンでオーダーすることです。
医師よりレントゲン撮影の指示が出ると、看護師はカルテの指示内容を確認後、予診室でX線オーダーの画面を呼び出し患者さんのカルテNo・撮影箇所・方向・コメント・Dr名を入力し登録します。撮影箇所は胸部=1、腹部=2と共通コードのもとに簡単に入力出来る数字入力にし、現在 62の撮影部位が設定され、登録すると瞬時にその画面がレントゲン室へ転送されます。
患者さんは指示箋を持たずにレントゲン室前で待ってもらいます。レントゲン室ではその指示を見て撮影を開始します。
入力業務をした看護師は指示内容が画面に表示されるため、再度指示内容を確認することができます。撮影されたフィルムはレントゲン室の係りが外来へ運びます。
特に外来の患者さんは高齢者の方が多く、依頼書、フィルムを持ち運びすることはありません。又、レントゲン写真はデジタイザーという機械で画像処理され5分後にはパソコン上でも見ることもできます。

検査の依頼も同様で看護師は医師の指示内容を確認後、検査オーダー画面を呼び出し患者さんのカルテNo・検査項目を入力し、登録します。
検査の種類によりコード番号があり、現在18の検査が設定され、登録すると瞬時にその画面が検査室へ転送されます。検査室ではその指示を見て、検査を開始します。
又、入力業務をした看護師も入力内容が表示されるので再度指示内容を確認することが出来ます。その間の依頼書の作成や伝票の持ち運びは省略されています。又、当院で実施されている血算や電解質等の至急の検査、
一般検尿の結果は直ぐに検査室より外来のパソコン画面へ返送されてくるので、検査結果の配送時間の簡略化につながり、患者さんの待ち時間を短くすることができます。


[オーダーリングシステムの活用]

『利点』
① レントゲン撮影、検査の依頼書を作成する必要がない
② 依頼伝票の持ち運びがない
③ 集計作業などもコンピューターにより自動的に行われる
④ このデータは全て集積され、時系列でデータを見ることができる。

『問題点』
① データの入力は慎重にスピーディに共通のコードで入力しないといけない
② 入力ミスがあるとそのまま まちがった指示で実施されるので、確認が必要である


[情報検索システムについて]

情報検索システムとは、各部署の入力した日々のデータが集約されて、各パソコンで検索できるようになっています。
例えば、検査室で入力している時系列・心電図の画像・レントゲン室で取りこんでいるフィルムの画像・栄養指導予約表・検査予約表・レントゲン予約表・リハビリ・医事課等各部署で入力された情報は当院の医療情報部により整理されリアルタイムでパソコン画面で見る事ができるように編成されています。 日々蓄積された画像データには超音波画像・内視鏡画像等もあり、どのパソコンからも検索することが出来ます。
表示された画像は診察時に十分参考にできる資料になりますので、過去のデータと見比べたい時は、外来情報版より撮影フィルム・心電図などのパソコン画面を開き比較することができますので、レントゲンフィルム等を保管室から準備する作業の簡略化につながっています。

又、内視鏡検査時の撮影映像などもプリントする枚数には限りがありますが、パソコンに映像を取りこむことで、検査中に撮影したすべての映像を再現することができます。
以前は撮影したフィルムは業者により回収され現像していました。そして、その現像されたフィルムを卓上拡張器で見ていましたが、画面が小さく見づらいものでした。その作業が改善され、医師は次回外来時にパソコンの画面を見ながら、患者さんに病状の説明ができますので、医師と患者さんとの信頼関係につながり、特に主治医と検査医師とが異なる時には役立っています。 現在の課題としては、内視鏡検査時の画像はリアルタイムではパソコンに転送することができません。検査終了と同時に画像をパソコンに取り込めるシステムに改善していくことが必要です。


[退院の患者さんが外来受診した時]

入院中の診療情報は入院カルテを参照することなく、病棟の看護システムで検索することができます。
この看護支援システムはバイタルサイン・食事摂取量・排尿回数・量などがグラフ化し表示された画面で1ヵ月単位で一画面で表示されます。同一画面に、医師のオーダー・レントゲン・内視鏡・超音波・心電図などの画像・血液検査結果・ケアープラン等の患者情報を検索することができ、外来診療に役立てる事ができます。
又、入院患者一覧表 訪問看護の予定表、病棟の業務把握もできます。

このようなイントラネットによるシステムを利用する事により、時間の簡略化が計られているおかげで、私たち外来看護師は慢性疾患・生活習慣病の増加・高齢化に伴う在宅医療・介護への変遷の中で本来の看護師の役割である看護と患者指導が十分出来るように努力したいと思います。

最終更新日: 2005/12/25

 
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