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褥瘡予防の取り組み
-褥瘡を創らない!褥瘡は早期治癒を目標に-

医療法人野毛会 もとぶ野毛病院 褥瘡委員会
○仲原恵 山城勝代 寺田礼子

[はじめに]

2004年4月から介護病棟では褥瘡対策指導管理加算が義務づけられ、当院でも2002年4月より医師・看護師・介護士・栄養士等からなる褥瘡対策委員会を発足し活動を開始した。
当院の褥瘡対策チームは2週に1度の褥瘡廻診を励行し、定期的な褥瘡委員会活動を開始。並行して褥瘡に対する知識を深めるため看護師・介護職員を中心にした院内勉強会の実施や研修会への積極的な参加を行い、委員会と病棟スタッフ間の連携をとり褥瘡予防対策に努めている。
当院介護病棟では2003年12月以降はそれ以前に比べ、入院患者の介護度が高くなり褥瘡発生の重度リスク患者が有意に増加した為、褥瘡形成の増加は回避困難であろうと考えられた。


[目的]

当院における褥瘡管理の状況を把握・評価する為、2003年12月前後における、各月の褥瘡危険因子と褥瘡発生数を比較検討。


[方法]

対象:当院介護病棟入院患者60名
観察期間:2002年8月~2003年11月迄を前期、2003年12月~2004年11月迄を後期とした。
褥瘡発生リスクは、ブレーデンスケールにより判定1)
重度リスクを10~12点、中等度リスクを13~14点、軽度リスクを15~18点とした。
褥瘡発生数は、入院中新規発生個数とし、入院時よりすでに褥瘡を保有している患者は除外した。


[結果]

グラフ1:観察期間前期(2002年8月~2003年11月迄)、重度リスク患者は各月平均15%、中等度リスク患者は各月平均前期35%、軽度リスク患者は各月平均前期50%であった。
グラフ2:観察期間後期(2003年12月~2004年11月迄)、重度リスク患者は各月平均49%、中等度リスク患者は各月平均27%、軽度リスク患者は各月平均24%であった。
また、新規褥瘡発生患者個数は、(グラフ3)観察前期で平均2.5個、(グラフ4)後期では平均1.6個と後期に発生個数は減少した。


[考察]

新規褥瘡発生個数が前期の2003年2月~3月までの間、15個と極端に増加している。この場合は全身状態の悪化で複数箇所に褥瘡形成した為と解った。
後期では、褥瘡因子の重度リスクが増加したにも関わらず、全体的に個数が減少している。このような事から、介護度の増加や重度リスクの増加が必ずしも褥瘡形成の増加につながらない事が解った。
当院における褥瘡管理方法は、(表1参照)
褥瘡委員会活動を通して、経過のモニタリングや評価を行うことにより、適切な治療方針の検討ができ、病棟スタッフへ対し適切なケア方法を指導、助言できた。スキンケア方法では、1日2回の陰部臀部の微温湯洗浄とワセリン塗布による撥水が徹底された。その結果、皮膚の浸軟の予防ができた。リスクに応じて1~3時間毎、30度体位変換を実施し、腸骨・仙骨への減圧ができている事で褥瘡形成が予防・減少できている。
褥瘡廻診へ栄養士が参加することで、栄養学的側面から栄養管理方法の助言をその場で得ることができた。
患者の身近にいる看護師の観察力・洞察力また、起こりうる予測に気づく事が大切である。全身状態の低下が容易に褥瘡形成を助長する事を予測し、病状の変化があった患者を優先にしたカンファレンスを病棟にて行った。
また、介護病棟にとっては多くの日常生活援助を行う介護職員は欠かすことのできない職種であり、大きな力となる。そのためには看護師から介護職員への正しい除圧の方法やスキンケア方法の指導、助言が適宜必要となる。
できてしまった褥瘡に対しては「褥瘡形成している」という事と、「ケアの方法」を、スタッフ全員に朝の申し送り時や病棟日誌等で伝達し、情報の共有・早期対処・早期治癒を目指している。
2週毎の褥瘡廻診が2年間滞りなく実行できたおかげで、明らかな褥瘡発生リスクの上昇後にも逆に褥瘡発生数の減少を達成できたと考えられた。
現在新たに患者毎の微量元素の測定結果も加味され、この補充と低蛋白・低アルブミンについて栄養士と主治医が廻診中に即時に相談できる点も利点となっている。


[まとめ]

褥瘡廻診を中心とした褥瘡対策活動を継続した結果、スタッフの意識が高まり褥瘡ケア方法の統一が図られた。
早期介入が遅れた場合は、治癒まである程度の期間を要する事も解った。
今後も各分野との連携を図り、予防・早期発見・早期治癒を目標に、委員会を更に発展させていきたい。


[参考文献]

1)宮地良樹 真田弘美:褥瘡のすべて頁7 2002年
2)高橋修一:エキスパートナース褥瘡対策のすべてがわかる本頁42 2004年
3)高橋修一:最新褥瘡ケア頁20 2001年

最終更新日: 2008/12/25

 
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